米国に一生暮らす場合には、心配する必要がありませんが、日本もしくは、他の国に移住する場合、現在加入しているRoth IRAはどのようにしたらよいか?海外からでも口座にアクセスできるのか?移住先の国に投資を持っていくべきか?という理由で悩む方が多いと思います。私もその一人です。
米国で解約したらよいのか?しかし、59歳半以上より前に引き出す場合には、10%のペナルティが発生します!10%とは非常に高い金額です。できるだけ損をしないようにしたいと考える方は多いでしょう。
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Roth IRAとは
Roth IRAについて、改めておさらいしておきましょう。Roth IRAは積み立ててるときに所得税を払い、引き出すときは無税となる個人年金口座です。リタイヤ後の貯蓄として、Roth IRAを利用することは、大きな節約になります。Roth IRAは、退職後の税金が現在よりも高くなると思われる場合に最適です。注意すべきは、収入が高すぎるとRoth IRAには拠出できません。
2021年現在、独身者の場合$140,000以下、夫婦の場合$208,000以下の年間収入の方が対象になります。年により変更がありますので、毎年最新の情報を入手する必要があります。また拠出できる金額も定期的に変更されます。2021年の拠出限度額は年間$6,000で、50歳以上の場合は$7,000まで拠出できます。
Roth IRAをはじめる場合、株やETF、REITに投資することができ、ネットで無料で開設できる「M1ファイナンス」がおすすめです。どの銘柄に投資をしてよい初心者でも、簡単にはじめることができます。米国の居住者で、ソーシャルセキュリティ番号を持っていれば、誰でも拠出することができます。
特に私のお気に入りの理由は、下記です。
- グーグルやFacebookなどの人気株を自分の好きな金額で購入することができること
- M1ファイナンスの専門家が選んだETFを購入することが可能なこと
専門家が選んだETFは、Ultra Conservative(非常に保守的)〜 Ultra Aggressive (非常に挑戦的)の7段階から選ぶことができ、年率のパフォーマンスは11%〜78%と非常に好成績になっています。
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日本に戻った場合、米国のRoth IRAをどうしたらよいか?
Roth IRAは、他の投資アカウントへお金を移動させることができません。そのため、選択肢としては、2つになります。
① 米国にそのまま残す
② 現金化して日本(もしくは他の国)に移す
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① 米国にそのまま残す
リスク
- そのまま残せる金融機関が少ない
- 為替
- 引き出すときの課税
そのまま残せる金融機関が少ない
もし米国にそのまま残しておきたいと考えた場合、維持する金融機関を探す必要があります。ただし、米国に住んでいない状態でRoth IRAを維持できる金融機関は非常に少ないことを覚えておく必要があります。多くの金融機関は、米国から去った場合、口座を閉鎖することを強く推奨しています。万が一、維持できる金融機関があったとしても、将来的にその金融機関のルールが変更になることも覚えておく必要があります。
為替
万が一、米国で残し59歳半以上で引き出す場合の為替のリスクをしっかり覚えておくべきでしょう。
引き出すときの課税
日本は日米租税条約により、年金等の課税は居住地課税です。利益部分は日本で受け取ると課税対象になります。Roth IRAのメリットは引き出すときに非課税なことです。しかし59歳半以上になったときに日本で引き出す場合には、日本で課税される可能性が高いでしょう。
② 現金化して日本(もしくは他の国)に移す
リスク
・10%のペナルティの支払い
・一度に引き出すと、米国への税金支払い
10%のペナルティの支払い
59半歳未満の場合は、利益部分に10%の早期引き出しペナルティを支払い、引き出しに対して米国の所得税を支払う必要があります。しかし、基本Roth IRAの元本は、ペナルティーなしで取り出しが可能です。例えば、米国の税率が20%の場合、引き出しに対して合計30%を支払うことになります。非常に大きなコストです。
しかし、Tax Returnの際に、クレジットと控除を通じて、支払ったお金の一部を取り戻すことができる可能性があります。帰国後、次の課税年度まで待って退職金を現金化すれば、納税義務を軽減することができます。 しかしこの方法は、帰国時に勤労所得が減少した場合にのみ機能します。
一度に引き出すと、米国への税金支払いあり
一度に引き出す場合には、連邦政府の税制の規則により高い税率がかかる場合があります。数十万ドルのRoth IRAの現金化だと最高税率が37%です。さらに州によっては州税がかかります。
Roth IRAのメリットは最初に所得税を払い、その後は利回り非課税で運用し、最後に引き出す時も非課税というのがメリットです。万が一、米国に残しておいて、59半歳になったときに引き出す場合、日本ではRoth IRAの恩恵を受けることができません。この場合には、引き出した際に、日本でその分に対しての税金を払わなければならないことになります。
日本人向けに個人年金を提供している会社があります。どうしても米国にそのまま残したい場合には、こういった会社に一度、相談するのもよいでしょう。
>> WFC World Financial Consultants, Inc.
グリーンカード保持者の場合
グリーンカードのステータスを維持するには、1年のうち少なくとも6ヶ月は米国に滞在する必要があります。この場合には、米国に住んでいることと同様にみなされるため、今まで通り、米国でRothを維持することができます。
ただし注意が必要なのは、あなたが一年のうち半年以内を過ごそうとする国にによっては、その国の法律や、米国と当該国との間の租税条約により、あなたが居住者とみなされる場合があります。投資所得やキャピタルゲインが当該国で課税される可能性があるため、その国へ一定期間居住者になる前に、よく調べる必要があります。
口座を開設する前に、米国に永住する予定なのか、母国に帰国する予定なのかを真剣に検討してください。
Roth IRA加入時に注意すべきこと
海外に移住する背景や理由は人それぞれです。Roth IRAをどうするかを開始する決断をする前に考慮すべき最も重要な2点は以下の回答です。
- あなたは米国市民または永住権(グリーンカード)保持者で、海外移住後も移民資格を維持するつもりかどうか?
- 退職後は、日本に戻る予定かどうか?
- グリーンカードや市民権が取れる予定はあるかどうか?
この回答により、Roth IRA口座を作るかどうかを判断すべきでしょう。Roth IRAを作るときは非常に簡単で、多くの人が開設できますが、帰国時は、非常に複雑なステップを踏む必要があります。もし日本帰国を検討している場合には、Roth IRAを避けるか、もしくは積み立てをして日本帰国が決まったら、日本に帰国する前に米国で引き出ししまうか、Roth IRAではなくTraditional IRAを選択する方が好ましいでしょう。